以前から私は、山寺の世界遺産登録を目指したいと思い、運動を起こそうとしてきました。

世界遺産登録のインパクトは何にも代えがたく、観光の振興に大いに資するのはもちろん、地元への誇りの醸成にもつながる、まさに地方創生の核になりえるものだと思っています。

山形県は以前、最上川流域の文化、農業、信仰などをテーマに、世界遺産の公募に応じ、世界遺産登録の予備軍である暫定一覧表への記載の一歩手前までいきました。もちろんそこには、山寺も入っていました。

しかし、その後知事が替わり、政治的な思惑も絡んだのかもしれませんが、県は世界遺産の登録に対するハードルが高すぎるとして、登録に向けた運動を諦めてしまいました。

確かに、最上川と各遺産との関わりを立証することが困難であるとか、登録待ちの他の遺産が多数あることから、非常に時間と予算がかかる、というのは確かです。

ですが、世界遺産登録というものは、たとえ20年かかろうと、その努力を放棄過ぎるのは惜しすぎます。そして、その登録に向けた運動をしている遺産、というだけで観光の発信につながり、地元の誇りにつながります。

実は、県が世界遺産登録への努力を放棄したとはいえ、最上川の申請が国のリストから消えたわけではありません。改めて努力を再開すれば、可能性がないわけではないのです。例えば関連遺産の物件を絞る、というのも手法の一つです。

山寺のご住職に聞くと、あまりに前回の登録は広範囲に過ぎて、選定委員の人から、「山寺単独の方が世界遺産登録しやすいですよ」と言われたそうです。

山寺単独で世界遺産登録を目指すとなると、「最上川」という主題から外れるために、新しい申請ということになってしまいます。しかし、現在のところ、新しい世界遺産の公募をする予定は国として一切ありません。

ですから、最上川という主題は変えず、テーマに沿った遺産に限定して、関連性を証明する努力をすれば、私はいけると感じます。

今回、この件に関して県に一般質問しましたが、教育長の答えは予想通り消極的なものでした。しかし、可能性を放棄することはない、ということで食い下がり、今後、民間からの盛り上がり具合で努力を再開するように訴えました。

ということで、今後、関係市町村、とくに新しく市長に当選した佐藤山形市長などと、各種観光団体などとともに、その機運をあげるような運動を起こしていきたいと考えています。

※以下、今回の一般質問の原稿を掲載しますので、細かい点はぜひご参照下さい。

世界遺産登録に向けた考え方について伺います。

世界遺産条約が締結され、平成4年に我が国もこの条約に加わって以降、これまで日本では19の世界遺産が登録されてきました。世界遺産に登録された文化や自然遺産は国内のみならず世界から注目され、観光に大きく資するとともに、地元の誇りを喚起することに大いに役立っています。

 現在の状況として、条約締結国は世界遺産への推薦候補を記載した暫定一覧表を提出し、その一覧表の中から原則的に毎年1件世界遺産へ推薦することになっています。世界遺産に登録されるにはこの暫定一覧表に載る必要がありますが、我が県では、平成18年に文化庁が行った暫定一覧表への追加資産候補の公募に応じ、平成19年には「最上川の文化的景観~舟運と水が育んだ農と祈り、豊穣な大地~」と主題を変えて再提案しました。

このとき公募に応じた件数は32物件で、うち5件が暫定一覧表に加わり、残りの27件が暫定一覧表候補の文化遺産と整理されましたが、その27件もさらに三つのカテゴリーに分けられました。我が山形県の提案は暫定一覧表記載に次ぐ「カテゴリーⅠa」の評価。十分に暫定一覧表に昇格できるだけの位置だったわけです。

しかし我が県は、この世界遺産登録に向けた推進事業を、登録へのハードルが高すぎるとして平成21年に中止してしまいました。たしかに暫定一覧表には現在10件が残っていて、これが全て毎年順調に登録されたとして、最低10年はかかりますし、暫定一覧表に新たに記載されるためには、かなりの時間と労力、予算がかかるだろうことはわかります。

ですが、世界遺産登録というインパクトはなにごとにも代えがたいものです。

時間や労力がかかるからと言って簡単に諦めるものなのでしょうか。かりに20年かかるとしても、挑戦するに足る価値あるものだと思いますし、登録に向けて県民一体となって運動することそのものが、県民の地元への誇りを醸成することにつながり、また、世界遺産登録を目指している物件としてPRするだけで、観光振興になるでしょう。

平成21年以降、最上川流域の各地が重要文化的景観の選定を目指してきて、平成25年には「最上川の流通・往来及び左沢町場の景観」が本県初の選定を受けました。

また、日本遺産魅力発信推進事業も文化庁で新しく始まり、県としてもこの日本遺産認定に向けた取り組みを進めていくと伺っているところです。ぜひこれは認定に向けて大いに取り組んでいただきたいものです。

さらに、「未来に伝える山形の宝」登録制度も3年目となり、最上川関連の文化財を活用した取組みを重点テーマ、その他の地域の文化財を活用した取組みを推奨テーマとして登録がなされているところです。

これらはすばらしいことでもあるし、意義深いものだとも思いますが、世界遺産登録というインパクトには遠く及ばないのは否めません。

翻って、改めて考えますと、公募に提案した最上川の物件は、別に暫定一覧表候補から消えたわけではありません。調査研究や文化庁が求める形にそぐうものになるような努力をすれば、可能性がなくなったというものではないわけです。

最上川という主題を外すわけにはいかないでしょうが、「最上川が育んだ文化的景観」となれば、イコール山形の文化そのものを網羅するものであります。山寺にせよ出羽三山にせよ、山岳信仰や草木塔などの文化も、「舟運と水が育んだ農と祈り」であって、要はその関係性をどう証明するかということになります。

主題は変えずに、対象資産をスリムアップし、登録により近づく形に変えることは出来るでしょう。その努力は決して無駄なものではないはずです。

世界遺産登録は、私にはあきらめるには惜しすぎるものだと思えます。

多大なインパクトを有する世界遺産登録に向けて運動することで、観光の振興と地元への誇りの醸成をはかり、20年先を見据えたまさしく地方創生の核となり得ると確信します。

世界遺産登録に向けた考えについて、教育長に伺います。