チッパー6月予算質問の三問目は、木質バイオマスの熱利用と産業化について質問しました。

知事は森林ノミクスを提唱し、森林を資源として認識し、ここに産業と雇用を生み出して、経済をまわす意思を示しました。

石油を使うということは中東を中心とした産油国にお金が流れているということで、これを地域でまわせば、非常に大きな産業になり、まさにエネルギーの地産地消が実現できます。さらに、再生可能エネルギーの一種であれば、環境にも優しく、しかも、森林に手が入ることで里山や山林の整備が進み、近年多発する災害対策にもなるという、一石何鳥もの効果がある事業だと期待しています。

私も、これを地元天童に取り入れられないかと、温泉街でチップボイラーを導入し、給湯や加温、冷暖房に使えるようにすべく、今、話し合いを進めています。

天童のまちの中心地でもチップボイラーが導入できれば、より様々な場所、施設に導入が可能なことが証明されますし、さらに今回は400kw程度の出力のチップボイラーの導入ということで、あまり大規模な設備投資をせずとも、バイオマス利用が可能であるということが利点かと思います。

私は、木質バイオマスは熱利用するのがいいと思っています。鶴岡の木質バイオマス発電はすばらしい事業だと思いますし、県内での発電量アップとエネルギーの地産地消という観点からは必要なものだとも思います。しかし、どうしても大規模・大事業にならざるを得ず、これに使うチップも相当な量が必要になります。また、やっぱり熱を電気に変換するということは、どうしてもエネルギー効率が悪くなります。今後の戦略として、私は、小規模なチップボイラーを様々な施設へと導入し、熱利用していくという方向性により軸足を置くべきではないか思います。

こうした考えのもとに、県内に木質バイオマスボイラーを導入したいわけですが、現在バイオマスボイラーを導入しているところに聞くと、やっぱりまだまだ大変だという話です。ボイラーの運用の問題、コストの問題、チップの供給と保管の問題。こういった問題がクリアできていない。

ボイラーの運用に関しては、ボイラー自体の性能が上がってるし、このごろ導入している施設なども出てきて、その経験値がたまっていますから、冬のチップの霜の問題や含水率の問題などは、チップの保管方法やボイラーの維持管理方法がある程度向上していくと思うので、あまり心配はしていません。

問題は、チップのコストと供給の問題が最大の壁だと思います。

こういった事業は、いつまでも補助金だよりではなく、経済として成立する、いわば儲かる、得だ、ということでなければ広まりません。森林所有者・森林組合の側は山の木材という資源を売ることで収入を得る。木を切り出し、チップを作り輸送する業者も儲かる。需要側も化石燃料を使うよりバイオマスの方が安くて燃料費が浮く。こういった三方両得の状況を造らなければ、このチップの供給は長続きしないでしょう。

間伐材をはじめ、今まで捨てていた木材や商品にならなかったC・D材が売れることで、A材B材とともに搬出することができ、資源として有効利用が可能となり得ます。それによって、木を切り出す業者も仕事が入ってくれば、設備投資や人材確保が可能となり、より効率的に経済行為としてチップ製造と木材搬出ができます。そして、その結果チップの生産コストが下がっていけば、需要側も化石燃料よりも安く燃料が買える、という状況をつくれるでしょう。

しかし、そのようになるためには、すべては森林から木を切り出す効率にかかっています。鶴岡の木質バイオマス発電、最上のチップボイラーなど、バイオマス燃料への関心の高まりによって需要側はできつつあります。ですが、これまで森林への手入れがおくれた分、チップの需要ができてきても、実際にチップの供給量が足りない、あるいはチップの値段が高くて化石燃料の方が得だ、というのでは事業は成功しません。

そのためにもまず最大の課題は林道整備、そして高性能林業機械の普及と、これを扱うオペレーター養成などの人材委の育成、また、切り出した木の集積・乾燥場所、チッパーの導入。

こういったものがそろわなければなりません。そしてそれは、これまで林業の基盤整備が遅れたツケで、需要側ができたからと自然にできあがるものではなく、業者が自主的に設備投資してくれるものでもありません。

ここはやはり、県がしっかりと予算をかけ、まずは山に行ける林道整備を促進し、高性能林業機械の導入と人材育成にも力を入れていくことが第一です。

また、森林所有者への経営意欲の醸成という意味では、全国的に「木の駅」という事業が広がっています。これは、木を持ってきてくれた人に、手間賃程度一トンあたりいくからかの商品券を配るというような事業ですが、こういったものも積極的に取り入れ、広範囲からたくさんの人の手を借りて、木を刈りだし、集積し、チップを供給する体制をしっかりとつくることも、地域の取り組みとして重要です。

そのための手助けを、県が全力を挙げてしなければすすみません。

要は、経済のサイクルの一回転目をさせることが一番難しい。しかし、まずはこれを一回、回すことです。一度経済がまわってしまえば、そこに儲けができ、燃料チップの生産量が増し、コストが下がり、産業が大きくなっていきます。ただ、その一回転目は、民間が自然と回せるものではありませんから、こういうときこそ、行政がこれにしっかりと予算をかけるべきです。

再生可能エネルギーへの関心が高い今、知事が森林ノミクスということで大きな方針を打ち出した今年、そして全国育樹祭が開かれる今年こそを、山形の森林活用、「バイオマス燃料利用元年」として、しっかりとした予算背景のもと、森林整備とバイオマス燃料の製造にのりだすべきと考えます。

こうした、チップボイラーの燃料となる木質バイオマスの安定供給に向け、県が本腰を入れて予算組みするよう、エールも込めて訴えました。